就業規則の効力の順番を押さえよう
職場のルールには、法令(労基法など)、労働協約(労働組合と使用者の合意)、就業規則、労働契約の4つのレベルがあります。これらの間には明確な優先順位があり、試験でも頻出です。
法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 上位のルールに反する下位のルールは、その部分が無効になります。
法令・労働協約との関係(第92条)
就業規則は、法令または当該事業場について適用される労働協約に反してはなりません(第92条第1項)。就業規則が法令や労働協約に反している場合、行政官庁(所轄労基署長)は、その就業規則の変更を命ずることができます(第92条第2項)。
労働協約は労働組合と使用者が「合意」して締結するもの。就業規則は使用者が「一方的に」作成するもの。合意がある労働協約のほうが効力が上位になる。
労働契約との関係(第93条・労契法第12条)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は就業規則で定める基準によります(労基法第93条、労働契約法第12条)。
例えば、就業規則で「退職金は勤続年数×10万円」と定めているのに、個別の労働契約で「退職金なし」としていた場合、退職金なしの部分は無効になり、就業規則どおり退職金が支払われます。
就業規則は労働契約に対して「最低基準」としての効力を持つ。これを就業規則の「最低基準効」という。労基法第13条(法令と労働契約の関係)と同じ構造で、就業規則より有利な個別契約はもちろん有効。
周知義務(第106条)
使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けること、書面を交付すること、その他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知しなければなりません(第106条第1項)。
周知の方法は以下の3つです:
- 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること
- 書面を労働者に交付すること
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、各作業場に労働者がいつでも確認できる機器を設置すること(社内イントラネット等)
周知義務は就業規則だけでなく、法令(労基法の要旨)や労使協定(36協定など)にも適用される(第106条)。
周知と就業規則の効力の関係
判例では、就業規則が法的な拘束力を持つためには、その内容が合理的であり、かつ労働者に周知されていることが必要とされています。つまり、作成して届け出ただけで労働者に知らせていない就業規則は、効力が認められない可能性があります。周知は形式的な手続きではなく、実質的な要件です。