労働基準法・労働安全衛生法 / 年次有給休暇

年休の日はいくらもらえる?時効と注意点

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解説テキスト

年休の日の賃金は3つの方式から選ぶ

年休を取得した日に支払われる賃金は、次の3つの方式のいずれかです(第39条第9項)。どの方式を使うかは就業規則等で定めておく必要があります。

方式内容ポイント
①平均賃金直近3か月間の賃金総額÷暦日数月給制の場合、通常の日給より低くなることがある
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金普段どおり出勤した場合と同じ賃金最もシンプルでわかりやすい方式。多くの企業が採用
③標準報酬日額(健康保険法)健康保険の標準報酬月額÷30労使協定の締結が必要。①②と異なり協定なしでは使えない
③だけ労使協定が必要

標準報酬日額を使う場合のみ、労使協定の締結が必要です。①平均賃金と②通常の賃金は、就業規則等に定めるだけでOK(労使協定不要)。試験で問われやすいポイント。

3方式の覚え方

「平均・通常・標準」の3つ。標準報酬日額だけが健康保険法の概念を借りてくるため、労使協定という「特別な手続き」が必要と覚える。

年休の時効は2年

年休の請求権は、発生日から2年で時効により消滅します(第115条)。たとえば、2024年10月1日に付与された年休は、2026年9月30日までに使わなければ消滅します。

つまり、前年の未消化分を翌年に繰り越すことは可能ですが、さらにその翌年(2年後)には時効消滅します。実質的に「今年分+繰越分」の最大2年分を持てることになります。

最大保有日数の計算例

6年6か月以上勤務の労働者:今年付与20日+前年繰越20日=最大40日まで保有可能。ただし、繰越分を先に使うか当年分を先に使うかは法律に定めがなく、就業規則等による。

不利益取扱いの禁止

使用者は、年休を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければなりません(第136条)。

たとえば、次のような取扱いは不利益取扱いに該当します:

  • 年休を取った日を欠勤扱いにして皆勤手当を不支給にする
  • 年休の取得日数が多い労働者の賞与を減額する
  • 年休を取得したことを理由に人事評価を下げる
第136条は「努力義務」的な規定

第136条は「しないようにしなければならない」という表現であり、罰則は設けられていない。ただし、判例では不利益取扱いが年休権の行使を抑制するものであれば、公序良俗違反として無効となる可能性がある。

年休の買い上げ

使用者が年休を買い上げて(金銭を支払って)年休を取得させないことは、原則として違法です。年休の目的はあくまで労働者を実際に休ませることだからです。

ただし、次の場合は例外的に買い上げが認められています:

  • 時効(2年)により消滅する分の年休
  • 退職時に未消化の年休
  • 法定日数を超えて付与した分(会社独自の上乗せ分)

半日単位・時間単位の年休

年休は原則として1日単位で取得するものですが、半日単位の取得は行政解釈で認められています。さらに、労使協定を締結すれば、年5日の範囲内で時間単位の年休取得も可能です(第39条第4項)。

時間単位年休のポイント

時間単位年休の上限は年5日分。労使協定が必要。計画的付与の対象にはできない。使用者による時季指定義務(年5日取得義務)の日数には、時間単位年休は含まれない。

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