労働基準法・労働安全衛生法 / 労働災害防止

安全衛生教育の体系

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解説テキスト

安全衛生教育の全体像

安衛法は、労働災害を防止するために事業者が行うべき教育を5つの場面に分けて規定しています。それぞれの教育は、対象者・実施時期・内容が異なります。

教育の種類条文対象者実施時期
雇入れ時教育第59条第1項新たに雇い入れた労働者雇入れ時
作業内容変更時教育第59条第2項作業内容を変更した労働者作業内容変更時
特別教育第59条第3項危険有害業務に就く労働者当該業務に就かせるとき
職長教育第60条新たに職長等になる者職長等に就任するとき
能力向上教育第19条の2安全衛生業務従事者等必要に応じて随時

雇入れ時教育(第59条第1項)

事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、その従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければなりません。これは業種・規模を問わず、すべての事業場で義務付けられています。

  1. 機械等、原材料等の危険性・有害性およびこれらの取扱方法
  2. 安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能およびこれらの取扱方法
  3. 作業手順に関すること
  4. 作業開始時の点検に関すること
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因および予防に関すること
  6. 整理、整頓および清潔の保持に関すること
  7. 事故時等における応急措置および退避に関すること
  8. その他当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項
省略が認められるケース

雇入れ時教育の事項のうち、十分な知識・技能を有していると認められる労働者については、その事項に関する教育を省略できる。ただし「教育自体を省略できる」わけではなく、個別の事項についてのみ省略可能。

作業内容変更時教育(第59条第2項)

事業者は、労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、その従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければなりません。教育の内容は雇入れ時教育と同じ8項目です。

「変更」の範囲

配置転換だけでなく、同一職場内での作業内容の変更も含まれる。例えば、製造ラインの担当工程が変わった場合なども該当する。

特別教育(第59条第3項)

事業者は、厚生労働省令で定める危険または有害な業務に労働者を就かせるときは、その業務に関する安全または衛生のための特別の教育を行わなければなりません。特別教育が必要な業務は安衛則第36条に列挙されています。

  • アーク溶接の業務
  • クレーン(つり上げ荷重5トン未満)の運転
  • フォークリフト(最大荷重1トン未満)の運転
  • 酸素欠乏危険場所における作業
  • 高圧室内作業に係る作業
  • 石綿等が使用されている建築物の解体等の作業
特別教育 vs 技能講習 vs 免許

危険有害業務の就業資格は3段階ある。①特別教育(比較的軽度の危険)②技能講習(中程度)③免許(高度な危険)。例:フォークリフトは最大荷重1トン未満=特別教育、1トン以上=技能講習。クレーンはつり上げ荷重5トン未満=特別教育、5トン以上=免許。

職長教育(第60条)と能力向上教育(第19条の2)

職長教育は、新たに職務に就くこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導・監督する者に対して行う教育です。建設業、製造業など政令で定める業種の事業場で義務付けられています。

能力向上教育(第19条の2)は、安全管理者・衛生管理者・安全衛生推進者などの安全衛生業務従事者に対して、事業者が能力の向上を図るための教育・講習等を行うよう努めなければならないとするものです。

義務 vs 努力義務の違い

雇入れ時教育・作業内容変更時教育・特別教育・職長教育は法的義務(「行わなければならない」)。能力向上教育は努力義務(「行うよう努めなければならない」)。この違いは試験頻出。

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