労働者死傷病報告とは
労働者が労働災害により死亡し、または休業したときは、事業者は遅滞なく、所轄労働基準監督署長に「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません(安衛法第100条、安衛則第97条)。これは労働災害の実態を把握し、再発防止につなげるための重要な制度です。
安衛法第100条は事業者に対する報告等の義務を定める一般規定。具体的な報告の様式・期限は安衛則第97条で規定。この2つの条文番号はセットで覚えるとよい。
休業日数による報告の違い
労働者死傷病報告の提出期限は、休業日数によって異なります。この違いは試験で非常によく出題されます。
| 区分 | 報告期限 | 様式 |
|---|---|---|
| 死亡または休業4日以上 | 遅滞なく(都度報告) | 様式第23号 |
| 休業4日未満(休業1〜3日) | 四半期ごとにまとめて翌月末日まで(1〜3月分→4月末、4〜6月分→7月末…) | 様式第24号 |
休業4日以上=都度「遅滞なく」報告、休業4日未満(1〜3日)=四半期ごとにまとめて報告。「4日以上は即報告、4日未満はまとめてOK」と覚える。死亡の場合は当然「遅滞なく」。
重大災害の即時報告
以下に該当する重大な労働災害が発生したときは、事業者は電話・FAX等により、直ちに所轄労働基準監督署に報告しなければなりません。
- 死亡災害が発生したとき
- 一度に3人以上の労働者が被災したとき(死傷病の程度を問わない)
- 重篤な負傷・疾病が発生したとき
重大災害の定義は「一度に3人以上」の被災。死亡に限らず、負傷や疾病でも3人以上同時に発生すれば重大災害に該当し、直ちに報告が必要。
労災かくしの問題
「労災かくし」とは、労働災害が発生したにもかかわらず、労働者死傷病報告を提出しない、または虚偽の内容を記載して提出することをいいます。安衛法第100条違反として、50万円以下の罰金(安衛法第120条第5号)の対象となります。
労災かくしが行われる背景には、労災保険のメリット制(災害率に応じた保険料率の増減)の影響、元請業者への配慮、企業イメージの低下への懸念などがあります。厚生労働省は労災かくしの排除に向けた取組を強化しています。
労災かくしは安衛法違反であり刑事罰の対象。報告しなかった場合も、虚偽報告をした場合も同様に処罰される。被災した労働者の治療や補償にも悪影響を与える重大な問題。
事故調査
労働災害が発生した場合、事業者は原因の調査を行い、再発防止措置を講じなければなりません。労働基準監督官は、安衛法第91条に基づき事業場に立入検査を行う権限を持ち、帳簿・書類の提出を求めたり、関係者への質問を行ったりすることができます。また、重大な法令違反があった場合は、行政処分(使用停止命令等)や刑事手続が行われることもあります。