安衛法の目的と事業者の責務
労働安全衛生法(安衛法)は、労働基準法と相まって、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています(安衛法第1条)。
安衛法第3条第1項では、事業者は単に法律の基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならないと定めています。これは「最低基準の遵守」を超えた積極的な安全配慮を事業者に求めるものです。
安衛法の義務を負う「事業者」とは、事業を行う者で労働者を使用するもの(法人なら法人そのもの、個人なら事業主個人)を指す。労基法の「使用者」(事業主+経営担当者+事業主のために行為をする者)とは範囲が異なる点に注意。
危険防止措置(第20条〜第25条)
安衛法第20条〜第25条は、事業者が講じなければならない具体的な危険防止措置を定めています。条文ごとに対象となる危険・有害因子が異なります。
| 条文 | 対象となる危険・有害因子 |
|---|---|
| 第20条 | 機械、器具その他の設備による危険、爆発性・発火性・引火性の物等による危険、電気・熱その他のエネルギーによる危険 |
| 第21条 | 掘削、採石、荷役、伐木等の業務における危険、墜落・土砂崩壊等のおそれのある場所における危険 |
| 第22条 | 原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏空気・病原体等による健康障害 |
| 第23条 | 労働者を就業させる建設物その他の作業場の保全、換気・採光・照明等 |
| 第24条 | 労働者の作業行動から生ずる労働災害の防止 |
| 第25条 | 労働災害発生の急迫した危険があるときの退避措置 |
第20条は「機械・爆発物・エネルギー」、第22条は「有害物質・健康障害」と覚える。第20条=物理的危険、第22条=化学的・生物学的有害因子と整理するとわかりやすい。
作業主任者の選任(第14条)
事業者は、政令で定める作業について、都道府県労働局長の免許を受けた者または都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮等を行わせなければなりません(安衛法第14条)。
- 高圧室内作業主任者(免許)
- ガス溶接作業主任者(免許)
- 木材加工用機械作業主任者(技能講習)
- プレス機械作業主任者(技能講習)
- 酸素欠乏危険作業主任者(技能講習)
作業主任者の選任資格は「免許」と「技能講習」の2種類がある。高圧室内作業やガス溶接など高度な危険性を伴う作業は「免許」が必要。試験では「免許か技能講習か」を問う問題が頻出。
機械等の規制(検定制度)
特に危険な機械・器具等については、安衛法上3つの規制の仕組みがあります。
| 規制の種類 | 内容 | 対象例 |
|---|---|---|
| 検定(第44条の2) | 個々の機械等について検定を受け、合格したものでなければ使用してはならない | ボイラー、クレーン、エレベーター等 |
| 個別検定(第44条) | 機械等を1台ごとに検査し、合格品に刻印等を付す | フォークリフト構造部分、プレス機械の安全装置等 |
| 型式検定(第44条の2) | 同一型式の機械等について型式ごとに検定を受ける | 防じんマスク、防毒マスク、保護帽等 |
個別検定=1台1台検査、型式検定=同じ型式をまとめて検定。型式検定に合格した型式の製品は、個々の検査なしに販売・使用が可能。防じんマスクなどの保護具は型式検定の対象。