労災保険法 / 業務災害・通勤災害

通勤災害の線引き

55
解説テキスト

通勤災害とは

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます(第7条第1項)。ここでいう『通勤』は、住居と就業場所の往復だけではなく、法改正で複数就業者の事業場間移動や単身赴任者の住居間移動も含まれるようになりました。

通勤に含まれる移動根拠具体例
住居と就業の場所との往復第7条第2項第1号自宅から会社への通常ルート
就業の場所から他の就業の場所への移動第7条第2項第2号午前の勤務先から午後の勤務先へ移動
住居間の移動第7条第2項第3号単身赴任先と帰省先住居との間の移動

合理的な経路・方法であること

通勤といえるためには、就業に関し、合理的な経路および方法で行う必要があります(第7条第2項)。最短ルートしか認められないわけではありませんが、常識的にみて通常使う経路か、危険すぎない方法かが問題になります。例えば、自宅から会社へ車・電車・自転車で向かう通常の方法なら原則として認められます。

合理的な経路とは

必ずしも最短距離だけではありません。保育園への送迎など、生活実態上ふつうに使われる経路であれば合理性が認められる余地があります。

逸脱・中断があると原則アウト

往復や移動の経路を逸脱し、または中断した場合、その間とその後の移動は原則として通勤になりません(第7条第3項本文)。例えば、通勤途中に映画館へ寄る、長時間飲酒する、といった行為は通勤から外れます。

逸脱と中断の違い

逸脱 = 合理的経路からそれること。中断 = 経路上で通勤と関係ない行為をすること。定義を逆に出すひっかけが多いです。

ただし例外: 日常生活上必要な行為

逸脱・中断でも、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により最小限度で行う場合は、その間を除き、合理的経路に復した後は通勤となります(第7条第3項ただし書)。日用品の購入、病院での診察、職業能力向上のための教育訓練、選挙権の行使などが代表例です。

  • 日用品の購入その他これに準ずる行為
  • 病院・診療所での診察または治療
  • 職業訓練や学校教育など能力向上のための行為
  • 選挙権の行使等
例外でも『その間』は通勤ではない

病院に立ち寄った場合、病院内での時間そのものは通勤ではありません。ただし、そこを出て合理的経路に戻った後は再び通勤として扱われます。

この内容の理解度をチェックしよう

5問の穴埋め・短答問題で理解度を確認できます。 無料トライアルで全ての問題に挑戦できます。

労災の他のレッスン