女性保護は「妊産婦」を中心に整理する
この分野では、単に『女性』と覚えるよりも、『妊産婦』を軸に整理すると理解しやすくなります。妊産婦とは、妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性のことです。第64条の3から第68条までは、妊娠・出産・育児に伴う身体的負担を踏まえて、働かせ方に特別なルールを設けています。
妊産婦 = 妊娠中の女性 + 産後1年を経過しない女性。産後8週間だけではなく、産後1年までを含む点に注意が必要です。
危険有害業務と坑内労働には就業制限がある
第64条の2は女性の坑内労働を制限し、第64条の3は妊産婦を危険有害業務に就かせることを禁止しています。たとえば、重量物の取扱い、有毒ガスが発散する場所での業務など、妊娠・出産・哺育に有害なおそれがある仕事には就かせられません。細かな範囲は女性労働基準規則第2条・第3条で定められています。
- 女性には坑内労働の制限がある(第64条の2)
- 妊産婦には危険有害業務の就業制限がある(第64条の3)
- 代表例は重量物取扱い、有毒ガスが発散する場所での業務など
産前産後休業は数字を正確に覚える
第65条の中心は、産前6週間・多胎妊娠14週間・産後8週間です。産前休業は、6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の女性が請求したときに与える休業であり、請求が必要です。一方、産後休業は請求がなくても当然に発生し、産後8週間を経過しない女性を就業させてはいけません。ただし、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障ないと認めた業務については就業可能です。
産前は『請求があれば』6週間、多胎妊娠は14週間。産後は『請求がなくても』8週間就業禁止。ただし産後6週間経過後は、本人の請求と医師の承認があれば例外的に就業できます。
妊娠中・産後1年以内は働かせ方にも制限がかかる
妊娠中の女性が請求した場合、使用者は他の軽易な業務に転換させなければなりません(第65条第3項)。また、妊産婦が請求した場合には、変形労働時間制による労働、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることができません(第66条)。たとえば、妊娠中の販売員が重い荷物を持つ作業を避けたいと申し出たとき、会社はレジや案内業務など、より負担の軽い仕事への転換を検討する必要があります。
産後8週間の就業禁止は請求不要ですが、軽易業務転換、第66条の時間外・休日・深夜の制限、育児時間、生理休暇は本人の請求が前提です。『何が自動で発生し、何が請求で始まるか』が得点差になります。
育児時間と生理休暇は休憩とは別に与える
第67条では、生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合、休憩時間のほかに1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を与えなければなりません。第68条では、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を就業させてはならないとしています。生理休暇は1日単位に限られず、半日や時間単位でも足りるとされています。
| 制度 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 育児時間(第67条) | 生後満1年に達しない生児を育てる女性 | 休憩時間とは別に1日2回、各30分以上 |
| 生理休暇(第68条) | 生理日の就業が著しく困難な女性 | 請求があればその日に就業させてはならない |