解説テキスト
障害補償給付が出るタイミング
障害補償給付は、業務上の負傷や疾病が治ゆし、その結果として身体に一定の障害が残ったときに支給されます(第15条、厚生労働省Q&A「4-2」)。ここでいう治ゆは、完全にもとの状態に戻ることだけではなく、これ以上治療を続けても医学的な改善が見込みにくい『症状固定』を含みます。
治ゆ = 完治とは限らない
骨折の痛みが少し残っていても、治療効果が頭打ちで後遺障害評価の段階に入れば、労災では『治ゆ』として障害給付に進みます。
未治ゆの長期療養中は傷病年金
療養開始後1年6か月を経過しても治っておらず、傷病等級第1級から第3級に該当する場合は、休業(補償)等給付ではなく傷病(補償)等年金が問題になります(第12条の8第3項)。一方、障害補償給付は『治ゆ後』を評価する制度です。未治ゆか、治ゆ後かで制度が分かれます。
| 制度 | 評価する時点 | 典型場面 |
|---|---|---|
| 傷病(補償)等年金 | 未治ゆの長期療養中 | 1年6か月経過後も治らない |
| 障害(補償)等給付 | 治ゆ後 | 後遺障害が残った |
通勤災害では『障害給付』になる
業務災害なら『障害補償給付』、通勤災害なら『障害給付』です。中身は近くても、通勤災害には『補償』がつきません。この名称差は療養、休業、遺族でも共通です。
よくある誤り
『通勤補償給付』という名称はありません。通勤災害なのに補償をつけた選択肢は、まず疑って確認しましょう。
請求権の時効は5年
障害(補償)等給付の請求権は、傷病が治ゆした日の翌日から5年で時効により消滅します(第42条)。療養の費用や休業の2年と入れ替えて問われやすいので、障害・遺族は5年とセットで覚えると整理しやすいです。