解説テキスト
メリット制は『災害が少なければ安く、多ければ高く』する制度
徴収法第12条第3項は、一定の事業について、事業の種類ごとに定める労災保険率を、その事業ごとの災害率等に応じて増減できると定めています。これがメリット制です。みんな一律ではなく、個々の事業の実績を保険料率へ反映させることで、安全活動への動機づけを図っています。
制度の趣旨
災害防止に熱心な事業は保険料が下がり、災害が多い事業は上がる。安全へのインセンティブを持たせる仕組みです。
対象は労災保険率であり、雇用保険率ではない
メリット制が問題になるのは労災保険率です。雇用保険率そのものを事業ごとの成績で上下させる制度ではありません。徴収法の保険料率の中でも、労災保険の事故発生実績と結びついた部分だと理解すると整理しやすいです。
判定は過去3年間の実績が基本
メリット制では、一般に過去3保険年度の保険給付額や賃金総額等をもとに、収支率など一定の指標で料率を増減します(厚生労働省『労災保険のメリット制』)。単年度だけでなく、ある程度の期間でならして判断する点が特徴です。
『すべての事業』ではない
メリット制は一定の要件を満たす事業だけに適用されます。小規模事業すべてに当然適用されるわけではありません。
申請主義ではなく、要件に当たれば動く仕組み
メリット制は、事業主が任意に『申請して有利なときだけ使う』制度ではありません。法令・通達・年度計算に基づき、要件を満たす事業について機械的に判定される仕組みです。試験では『申請が必要』とする選択肢が誤りとして出やすいです。